「恩返し」を力に変えて最高の「答え」を手に入れる
- TOMOYA IKENAMI
- 2024年5月27日
- 読了時間: 3分
秋の県大会準優勝、関東大会ベスト4、春のセンバツ出場、県大会優勝、関東大会出場。
新チーム以降、県内ではもっとも安定した結果を残している慶應義塾。
それでも、選手たちに満足感はない。掲げる目標は、『KEIO日本一』だ。
さらなる上を目指して、夏の戦いに挑む。
キャプテン・大村のリーダー性「みんなでやろう」の中心的存在
昨年9月4日、等々力球場で行われた県大会の初戦(2回戦)を10対0で快勝したあと、森林貴彦監督に「今年のチームの特徴」を尋ねると、こんな言葉が返ってきた。
「例年よりも、みんなで勝とう、みんなでやろうという意識が強いので、チームとしての成長を見込めるかなと思っています。キャプテンの大村(昊澄)が、『みんなでやる』というのに打ってつけの 〝人間性キャプテン〞です」「今年は長打を打てるようなチームでは
ない。小技を絡めて得点を取っていきたい」と語っていた打線は、試合のたびにホームランが飛び出し、県大会準々決勝では加藤右悟の2ランなどで東海大相模に7対4で打ち勝った。 その後、関東大会ベスト4でセンバツ切符を掴むと、夏の王者・仙台育英とタ
イブレークの熱戦を演じた。 春の県大会では「競争」と「変化」をテーマに掲げ、外野手の福井をサードにコンバートし、ファーストを延末藍太と清原勝児で競わせるなど、チームの底上げを図った。さらに、昨秋は代打要員だった渡邉千之亮が5試合で5本塁打
を放つなど、大ブレイクを果たした。 投手陣もエースの小宅雅己や経験豊富な松井喜一に次ぐ存在として、速球派左腕・村上迅太や、2年生の鈴木佳門が台頭。投打ががっちり噛み合い、12年ぶりに春の頂点に立った。
ここまでの成長曲線は、指揮官にとって予想の範囲内だったのか、あるいは
予想を超えるものだったのか。まずは、そこを聞いてみたかった。「思い描いていた以上です。特にバッティングが上がりました。正直、個々の力は昨年の3年生のほうが上だと思い
ます。それを彼らも自覚しているので、『みんなでやろう』とひとつの方向を向くことができている。その中心にいるのは、間違いなく大村。言葉でも姿勢でも引っ張るリーダーシップを持っている。キャプテンに選んだときは、もしかしたら、レギュラーは難しいかと思っ
ていたんですけど、本人の努力で守備も打撃も大きく成長しています」 チームメイトから見た大村は、どんなキャプテンなのか。まずは、3年生の正捕手・渡辺憩の証言。
「頼りになる。その一言です。キャプテンになってから明らかに責任感が増して、チームを勝たせたいという強い気持ちでまとめてくれています。それに応えなきゃいけないと思っています」 2年生の外野手・加藤右悟は、尊敬の念を抱く。「大村さんを日本一のキャプテンにしたい。本当に優しくて真面目で、それでいて言うことははっきり言う。ぼくだけでなく、ほかの人も同じことを思っていると思います。本当に尊敬しています」
森林監督が〝人間性キャプテン〞と評する意味が十分に伝わってくる。

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